会長挨拶
「文化財建造物保存修理研究会」の会長就任にあたりご挨拶申し上げます。
保存修理は文化財建造物を適切に未来へと伝えるための最も実践的直接的な取り組みであり、明治以来多くの先人達の情熱と叡智により着実な技術の蓄積と進展がありました。
その一方で社会の変化は著しく、伝統的な社寺建築に加えて民家、近代建築、産業土木遺産、近代和風建築、戦後の現代建築まで、比較的時代の新しいもの、身近なものまで急速に失われつつある事態に直面して、保護すべき対象や時代範囲は広がってきました。
重点的な保護対象として厳選された指定文化財に加えて、地域の歴史的なたたずまいを身近に伝える登録文化財、伝統的な集落や町並みを構成する建造物群など保護の制度が多様化しています。また、保護制度の枠組みとは別に身近な建築遺産の魅力を活かしながら使い続けたり新たな活用の道を探ることで地域の持続的な発展につなげていこうとの取り組みが各地で行われています。
文化財建造物修理は、様々な観点からの学術的調査、修理方針の決定、設計・施工の各段階、その後の維持管理まで、ハード・ソフトを含めた様々な行政、研究、技術、技能の各分野の専門家が関わりを持つことになります。設計・施工には伝統的な素材と技術に対する豊かな経験を必用とするばかりでなく、新素材や最新科学技術が必用とされる場合もあります。また、保存とは一時の応急的解決ではなく持続的恒久的な解決を目標とするものですから、修理のみで解決されるものではなく、公開や活用を進める管理者、地域社会の持続的発展を図る行政やNPOなどの取り組みにも負っています。
本研究会を通じて文化財建造物の修理に関わる多様な各分野の方々の経験と知識が共有され、また議論と研究を深め、保存と修理の向上に寄与することを願っています。
2015年3月発足以来7年を過ぎ、会員約300名を擁する研究会へと成長しましたが、コロナ禍でしばらく活動の一部中止等を余儀なくされておりました。会員各位に対して、研究発表会への応募、機関誌『文化財建造物研究』への投稿、現場ワークショップ参加、事務局への活動提案など改めてお願いして、研究会のさらなる発展を共に目指していきたいと考えています。
2022年5月
文化財建造物保存修理研究会会長 清水真一
研究会の概要
目的
本会は、文化財建造物の保存修理等に関する研究及び技術の高度化を図り、我が国の文化の向上及び国民の文化遺産に対する理解の増進に寄与することを目的とする。
事業
(1)文化財建造物の保存修理に関する研究及び調査
(2)研究会誌の発行及び図書その他の出版物の発行
(3)研究発表会、講演会、講習会、見学会などの開催
(4)内外の教育研究機関、学協会などとの連絡協力
(5)その他本会の目的を達成するために必要な事項
(6)上記の事業に付帯または関連する事業
事務所
〒116-0013 東京都荒川区西日暮里2-17-10 アクセスキクヤビル6F
TEL 03-6806-8975 FAX 03-6806-8976
e-mail :info@hozon-syuri-kenkyukai.jp
設立趣意書
役員等名簿
会則
事業報告・収支決算報告書・収支予算書
アクセスマップ